いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

「ブログランキング」の亡霊と『極東ブログ』の帰還


blog.hatenablog.com
www.sucharaka-zaren.com


はてなブログ』にカテゴリー別のランキング機能が!

というのをみて、僕は驚いてしまいました。
いま、2023年だよね? 『はてなブログ』だよね?

まさか、『エンピツ』(という日記レンタルサイトがあったのです。というか、今もあります)の「投票数ランキング」が現代によみがえってくるなんて……


www.enpitu.ne.jp

僕もずっと、こんな日記を書いていました。
www.enpitu.ne.jp


この日記のもっとも新しい日付が2013年ですから、もう10年前になるんですね。
さまざまな日記レンタルサービスやブログのプラットフォームが終了しているなかで、まだずっとデータを残してくれている『エンピツ』は、本当に良心的ですね。「有料で永久レンタル」というのを作ってしまったから、やめるにやめられないのだろうか。


閑話休題(というか、このエントリは全部『閑話休題』的な内容です)。

この『エンピツ』では、「投票数ランキング」というのがあって、「読んだ人が投票ボタンをクリックした数で順位が決まり、上位になると目立ってさらに読まれやすくなる」という仕組みになっていたんですよね。「読んだらここを押して投票してね!」(押すと)→「投票ありがとう!」に変わるというような「仕込みボタン」が『エンピツ』の名物になっていました。ちなみに僕はめんどくさかったので「押すと内容が変わるボタン」は使っていませんでしたが。


にほんブログ村』の「ブログランキング」や各ブログプラットフォームの人気ランキングは今もあります。
blogmura.com
blog.livedoor.com


人気ランキング、アメブロ芸能人ブログばかり、ライブドラブログでは「2ちゃんねる(5ちゃんねる)」まとめブログばかりになってしまっていて、個人ブログがこういうなかでのし上がっていって目立つのはよほど目立つ犯罪か大炎上でもしないと無理だろうなあ、と思います。

長年『はてな』で書いてきて、『はてなブログ』は、創設以来、ブロガー基本的には平等に扱ってきたというか「人気ランキング」「アクセス数ランキング」的なものを、(おそらく)あえて排除してきたと記憶しています。
アクセス数ランキングとかを作るのは、技術的にはそんなに難しいことではなかったと思うのですが、そういう「有名人を広告塔的に押し出してアピールする」ことに積極的ではなかった。けっこう、有名人や芸能人も書いていたんですけどね。「書いている人たちを平等に扱おう」という意思を感じていました。

僕は『はてな』のそういう頑なさが好きではあったけれど、「はてなブックマーク」の影響力が強すぎる時代があったり、互助会が跋扈していたり、という時代もあり、SNSの伸長で「ブログ文化」そのものが斜陽になっていることもあって、最近の『はてなブログ』には、なんとか新しくブログを書く人、読む人を増やしていこう、という姿勢を感じています。

実際、「はてなブログ』のトップページでは、アクセス数や知名度関係なしに、結構面白い日記・日常系ブログが紹介されているんですよね。
でも、今から新しいブログを「開拓」しようとしている人は少ないだろうなあ、とも思うし、方針転換するならもっと早くすればよかったのに、という気もします(本音は、「何をいまさら。往生際が悪いな」でもあります、ごめん)。


今回の「ランキング」にしても、登録してバナーを貼ったサイトが一定以上集まらないとランキングを見ることができないし、僕も実験的に別ブログでやってみたのですが、ランキングに参加する人も、バナーをクリックする人もほとんどいない、というのが現状です。そりゃそうだよね、というか、いま、そんな『エンピツ』や『ブログ村』の亡霊みたいなシステムを導入したところで、毎回バナーを貼るのも(簡単にできるとはいえ)ひと手間だし、誰がわざわざそのバナーをクリックするのか。ブログの長文を読むのさえめんどくさい、という趨勢なのに。

結局、誰も利用せずに自然消滅するか、「互助会」みたいな人たちがお互いにクリックしあって、ランキング上位に入るけれど、そのランキングに互助会外の人たちは見向きもしないのではなかろうか。
おそらく「ランキングには参加したくない」という人に配慮したシステムで、「読んでほしい人が、読みたい人に読んでもらえるように」という発想なのでしょうが、ただでさえ稀少なブログの一般読者が、わざわざバナーをクリックなんかしないだろうし、そんな手間もかけさせたくないのです。
実際、僕が試験的に入れてみたやつでは、「1週間で1クリック」とかですよ。そりゃそうだよなあ、としか思えない。

こういうことをやるのなら、「登録制の投票ランキング」はもう時代に合わないので、現在の「編集部のキュレーターによるおすすめ」に加えて、ランキングを表示する方向に舵を切るのであれば「全員参加のジャンル別アクセス数ランキング」にしたほうがいいと思います。

でもまあ、正直なところ、個人ブログそのものが、もう撤退戦でしかなくて、新しく読者を増やしていく、というのが極めて難しくなっているのです。
はてなブログ』運営側も「これが起爆剤になる!」と期待しているよりは、現状できることはこれくらい、なのでしょう。

TwitterFacebookなどのSNSでさえ、フォロワーを増やすのはきついのです。
新しいサービスの開始直後は、「来るもの拒まず、ちょっと気になった人はすぐフォロー」でも、これだけ時間が経ってしまうと「もう、めんどくさい人に関わるのは避けよう」と思ってしまう。
僕も、最近のTwitterとかは、宣伝・勧誘目的でフォローしてくるアカウントがあまりにも多くてうんざりしているのです。
「ママ活」とか「絶対儲かる投資情報」とか、こっちに来ないでくれ。

あと、他人の感情に付き合うことに、もう疲れてきました。

なんだかもうみんな疲れていて、誰かに自分の話を聞いてもらいたいのだけれど、誰も他人の面倒な話など聞きたくない。
日本の少子化よりも急速に、日本の少ブログ化は進んでいきそうです。

もしかしたら、個人ブログというのは「ケータイ小説」みたいな一時の流行でしかない、と歴史的には評価されるのかもしれませんね。


……というようなことをグチグチと書いていたら、『極東ブログ』が久しぶりに更新されていました。


finalvent.cocolog-nifty.com


僕にとっては、「こういう人になりたいものだ」「こういうブログを書きたいものだ」と憧れていたブログ。
書きはじめの頃は『ろじっくぱらだいす』とか『POPOI』のユーモアのセンスが好きで、『極東ブログ』の硬派な語りに魅了されていたのですが、僕は目先のページビューにとらわれて、結局、こんな感じになってしまったなあ、と、せつなくなります。

finalventさんの「復活」は嬉しいけれど、僕も『考える生き方』が上梓された頃のfinalventさんと同じくらいの年齢になってしまったなあ、という感慨とともに、ブランクがあっても、やっぱり「書きたくなる(こともある)」のだな、と「ブログの魔力」みたいなものを考えずにはいられないのです。
はてな』で知る人ぞ知る「コンビニ店長」なんて、匿名ダイアリーでどんなに読まれても、「密かな承認欲求」くらいしか満たされないのに、(たまにだけど)書き続けていたのだし。


fujipon.hatenadiary.com


あらためて読んでみると、『極東ブログ』のシンプルなデザインや読者を意識しすぎない語り口や話題の切り取り方って、すごく魅力的なんですよね。
つながろう、とするあまり、つながりたさだけをアピールする、中身のないブログを誰が読むのか?
「私もブログをやっていますので、友達になりましょう!」とか言われても、僕は困惑しかできません。
「この人は、友達とやらになって、何をしたいのだろう?」って。
逆に、魅力的な文章を書いていれば、なんらかの形で多くの人に紹介したい、とは思います(会いたい、とかいうのはまた別です。僕は人に積極的に会おうとしなかったから、こうして今も書き続けていられると感じています)。


fujipon.hatenablog.com


無理に誰かとつながらなくてもいいから、ちゃんと自分でそこに立っていられるブログを書きたい。
むしろ、そういう独り立ちしたブログだからこそ、他者も興味を持ってくれるのではないか。

その一方で、結局「中身」とか「内容」って何だろうな、とも考え込んでしまうのです。

なるようにしかならないし、オチもないけど、僕はまだ生きていて、書ける。
だから、書きたいときは、書きたいことを、書こうと思います。


fujipon.hatenablog.com
fujipon.hatenadiary.com

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