いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

『ゲームセンターCX15th感謝祭 有野の生挑戦 リベンジ七番勝負』の感想(とっとと書いてください)


gccx15th.jp


ゲームセンターCX』の15周年イベントを観に、2018年10月28日に幕張メッセに行ってきました。
 幕張メッセに行くのって、はじめてだな……と思っていたのだが、あらためて考えてみると、これまで何度も学会で行っている場所、ホールだったのです。
 まあでも、仕事で行くのとは全然違う場所のようでしたが。
 なんと隣では、「今をときめく」米津玄師さんのコンサートが行われていて、『ゲームセンターCX』vs 米津玄師という、ファンの層がまったく交わることがなさそうな集団が、この幕張で出会うことになったわけだ。
 だからといって、別にあちこちで衝突が起こる、なんてこともなかったわけですが。
 有野課長も「今をときめく米津さんの隣で、素人(『ゲームセンターCX』の番組ADさんとかですね)が1万人を前に歌ってるって……」と仰っていましたが、それこそがまさに『ゲームセンターCX』の歴史であり、2018年的な現象なのかな、とも思ったのでした。

 イベントの内容や有野課長の「7番勝負」の勝敗については、お正月に番組で放映されるまで、ネタバレを固く禁じられているので書けませんが、書いておきたいのは、とにかく、すごく楽しかった、ということです。
 けっこう前のほうの席で、課長の姿もよく見えました。
 僕は『ゲームセンターCX』を13年くらい観てきたのだけれど、心の奥底で、「この番組は、あまりにもドラマチックな展開で課長がゲームをクリアしすぎるし、もしかしたら、課長はゲームをしているフリをしているだけで、あらかじめ録画したたものや、別室で誰かがプレイしているのを流しているのではないか」とほんの少しだけ疑っていたのです。
 でも、確かに課長はコントローラーを操作していました。大きなWiiUを使っていたときは、とくにわかりやすかった。
 そして、「挑戦部屋幕張メッセにようこそ!」って、いう言葉は噓じゃなかった。
 目の前に有名芸能人=憧れの有野課長がいるのに、目はプレイ画面に釘付けになり、「おおおーーーっ!」とか「ああ……」とか、みんながまるで友達のプレイを見守っているかのように、ひとりひとりの感慨を口にしていて、それが×1万なんですよ。そこには、ものすごい一体感がありました。
 課長のプレイを見守る「個」としての自分が尊重されつつも、会場の1万人の人たちとの一体感もあるという、ものすごく不思議な空間だったのです。


 スポーツの試合だったら、お互いのチームの応援をしている人がいるわけですよ。
 でも、この日の幕張メッセには、有野課長を応援する人しかいなかった。この圧倒的ホーム感。今日は、この場所なら、ようやく難所を乗り越えたにもかかわらず、クリア寸前でコントローラから手を離してやられる有野課長に思いっきりダメ出しができる。家でやると「いい大人が何やってるの」的な感じになることも少なくないので。


 僕は『ゲームセンターCX』のイベントに初めて行ったのですが、会場は「お祭り」みたいな雰囲気でした。
 『トミカ博』とかに近い感じ。
 感謝祭開始前から、各地の名物(中津のからあげや仙台の牛タンなど)の屋台が会場の前室のホールに並んでいて、物販やガチャ、謎の「課長水」にも長蛇の列ができていました。
 個人的には、物販の種類が少なめで、すぐに売り切れてしまったものが多かったのは残念だったのですが、開演までの待ち時間も、ワクワクした気持ちでいられたのです。
 あと、開演前に流れていた、過去の番組ADさんたちの現在が紹介されていた映像も感慨深かった。
 人気番組のADで、それぞれファンも多かった人たちなのだけれど、人生というのは順風満帆なわけではなくて、番組や制作会社に残って活躍している人もいれば、メディアや芸能界の仕事を離れて、一般企業のサラリーマンとして働いている人もいる。
 そして、そんな人たちが、今日のためにまた集まってきて、「あのとき」と同じように、有野課長とやりとりをして、日常に戻っていく。


 有野晋哉という芸人さんの凄さもあらためてわかったような気がします。
 普段の番組って、10時間以上もゲームをやっていて、その中で有野課長の面白いコメントやプレイを集めているわけですから、スタッフの「編集力」の賜物なんだろうな、と思うところもあったんですよ。
 こういうイベントも、10周年記念の武道館イベントをみながら、きっと、つまんない部分はたくさんカットしているんだろうな、と。

 ところが、イベントに参加してみると、休憩時間も入れて4時間をこえるようなイベントなのに、間延びしたり、退屈したりする時間帯がほとんど無かったのです。
 戻し作業や同じ場面のくり返して、観客がちょっとダレそうになるポイントで、有野さんはしっかりとツッコミを入れて観客を笑わせていました。
 グダグダになりかけているところ、ちょっと真面目になりすぎているところでの有野課長のバランス感覚は本当にすごい。
 そういうのをすべて、的確な対応で「笑い」に変えて、みんなをリラックスさせてしまう。
 菅剛史プロデューサーがチームの監督とすれば、有野さんはフィールドの司令塔。今回は、以前のイベント(テレビで観ただけですが)に比べて、有野さんの「現場の裁量」を信頼していたようにも感じたのです。


 有野さんは濱口さんに「どうせ(ノストラダムス大予言で)1999年にみんな死んでしまうんだから、好きなことやって、芸人やってみようや」と誘われたそうで、そのとき、有野さんは「俺、本当は料理人になりたいんだけどなあ」と思っていたそうです。
 『ゲームセンターCX』の最初のMC候補は有野さんではなく(第一候補は鹿賀丈史さんだったのだとか)、何人かに断られてお鉢が回ってきた仕事を「やります!」と受けたというのもラジオで聞きました。
 今となっては、有野課長以外に考えられないキャスティングなのだけれど、世の中というのは、偶然に支えられているのだよなあ。
 僕にとっては、この番組を観るのが、きついときの気分転換であり、良いことがあったときの自分への御褒美であり、最近は子どもたちとのコミュニケーションのひとつでもあるのです。
 まあしかし、昔の映像をみると、有野さんも年を重ねてきましたよね。
 ほぼ同年齢の僕も最近はずっと老眼に悩まされております。


 もちろん、限られた時間のなかで、盛り上がるゲームを探し、「どこからプレイするのが良いのか」をきっちりと準備したスタッフの力も大きかった。
 ひとつ間違えば放送事故にもなりかねないようなアツいファンとのやりとりが、みんなを巻き込んでドラマになっていくところは、感動的ですらあったのです。
 そしてそこには、15年間この番組を支えてきたスタッフのフットワークの良さもありました。あれが雑音になるか、コンテンツになるかは「紙一重」だったはずで、有野さんの対応力とカメラマンの即応力、そして、スタッフの1万人のファンへの信頼の力を見せつけられたような気がします。
 いや、僕自身もその一員として、この場にいることが嬉しくて、誇らしい気持ちになりました。
 ああ、この番組は、ただ「おおーーっ!」とか言ってるだけの僕も、一緒につくっているんだな、って。
 
 最初は、「米津玄師さんと同日、同時間帯だなんて、向こうのファンはきっとこっちに対して、『オタクが集まって何やってるんだか!』と白眼視しているのではないか」と、ややコンプレックスを抱いていたんですよ。
 「米津玄師、何するものぞ!」みたいな気持ちも少しありました。


 でもね、高揚した気分で会場を出て、海浜幕張駅に向かっていく人の流れに身を任せつつ、周りの人たちが笑顔で今日の感想を言い合っているのを眺めていたら、なんだかけっこう感動してしまって。
 そこには、米津さんのファンも、『ゲームセンターCX』のファンもいて、さまざまなコスプレをしている人もいたのだけれど、みんな同じ、満たされた顔をしていて。
 ああ、好きなものに包まれて幸せなときを過ごしたっていうのは、米津さんのファンも『GCCX』のファンも同じで、そういうふうに、コンテンツに支えられて生きているという点では、僕たちはみんな同じなんだ。
 いろんなことがあるし、人生良いことばかりじゃないし、人っていつかこの世界からいなくなってしまうものだけれど、それでもこうして、人生のなかの何時間かでも「楽しいひとときだった!」と言えるのは、けっこう幸せなんじゃないかな、と思ったのです。
 

 本当に、楽しかった。
 芸能人って、テレビ番組をつくる人ってやっぱりすごいな、とも思いました。
 とりあえず、20周年のさいたまスーパーアリーナまで、なんとか生きていくつもりです。
 あの場をつくった人、あの場にいた人、『ゲームセンターCX』のファンの皆様、米津玄師さんのファンの人たちにも、ありがとう、と伝えたい。


 そうそう、有野さんが『オールナイトニッポン』で、ゲームセンターCXのファンが歌のときにどうしていいのかわからずに戸惑っているのが心配、と仰っていましたが、けっこうしっかり盛り上がって楽しんでいたと思います。「Xジャンプ」とかも多くの人がやっていたし(僕はジャンプまではできませんでした……)
 15年も続いていると、ファンもけっこう成長しているんですよ!


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※写真のクオリティはさておき、「撮影OKタイム」に撮ったものです。念のため。


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