いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

『ファイナルファンタジー15』は、本当に「クソゲー」なのだろうか?(極力ネタバレなし)


僕は結局発売日に買ったんですよね『ファイナルファンタジー15』。
あれやこれやで、結局、1ヵ月以上かけてようやくクリアしました。
途中で投げ出してしまうことも多い僕としては、クリアするに至っただけでも、それなりに面白かった、ということでもあるのですが(ちなみにプレイ時間は40時間くらい。どのくらい寄り道するかによって変わってきますが、サブクエストをちゃんとやっていけば、100時間くらいは遊べるはず)、先日、ゲオでゲーム販売コーナーを眺めていたら、中古が3980円で売られていました。
もうそんなに値崩れしているのか……
発売日も品薄になっていた様子はないし、つくりすぎたのかな、という気もしますが。


それにしても、このゲーム、ネットではものすごく評判が悪い。
というか、ネガティブな評価が目立つのです。

www.amazon.co.jp


これを書いている、2017年1月5日の0時の時点で、Amazonのレビューの平均点が2.7!
トップレビューには「売れるべきではないゲーム」というタイトルがついています。


ファイナルファンタジー15 感想」をGoogleで検索すると、最初に表示されるのがこのレビューです。

www.ffreturn.net

これは、僕にとって、すごく納得できる感想でした(このレビューは、ネタバレを含んでいます)。


僕は最近据え置き機でほとんど遊んでおらず、この『ファイナルファンタジー15』で、久々にPS4を起動したんですよね。
この前に遊んだ、『龍が如く0』は、ストーリーやおまけゲームも含めて、なかなか面白かった。


個人的には、けっこう楽しめたんですよ『ファイナルファンタジー15
完徹、まではいきませんでしたが、クエストをあとひとつこなしてから寝よう、と思っているうちに、いつのまにか夜更かししてしまう、という「ゲーマーな夜」を久々に過ごすことになりました。
僕はほとんど「オープンワールドRPG」をプレイしたことがないので、『スカイリム』や『Fallout4』『グランド・セフト・オート(シリーズ))』などを遊んできた人たちは、それと比較して物足りないと感じているのだろうか。


このゲーム、前半のいろんなところに行けるChapterは、けっこう自由度も高くて、面白いんですよ。
ただ、車での移動はやたらと時間がかかります。
移動中、あまりに退屈なので、ついついスマホをいじってしまうのです。世界に浸る、という意味ではこの移動の長さはつらかったし、待ち時間ももったいない。制作側には「世界の広さを感じてほしかった」という意図があったそうですが、どちらかというと、ロードの長さのほうを痛切に実感してしまいました。
あと、クエストの内容も、モンスター退治か決まった範囲での宝探しみたいなものばかりで、クエストの数はたくさんあるのですが、バリエーションは少ない。
けっこう広いエリアから、小さなカエルを探せ、とか、バルブをチェックしろ、とか、ほとんど嫌がらせだとしか思えませんでした。
カエル見つからないよ!『惑星メフィウス』の砂漠かよ!
……たぶん、読んでいる人の大部分にはわからないネタですみません。


惑星メフィウス


まあ、『惑星メフィウス』に比べれば、こんなの序の口、なんだけどさ……いまはいざとなったら、ネットで答えを……僕も老いたな……


まあしかし、故国と父王がとんでもないことになっているにもかかわらず、能天気に仲間たちと『スタンド・バイ・ミー』していて、そのことを気に病んでいる様子もないノクティス王子のメンタルの強さには、操作しながらも、ちょっとひとこと言わせてもらいたい気分にはなりますね。
正直、ストーリー的には、「ひとこともふたことも言いたくなる」のは間違いありません。
なかでも「●●●●ー●さん」の扱いについては、絶句してしまいました。
そりゃ、セガの『シェンムー』のヒロインのシェンファさんよりは、ずっとマシな扱いだったかもしれないけどさ。


前半、こんな能天気にブラブラしている場合かよ!と思いながらも楽しんでいたオープンワールドは、中盤から一気に「一本道ストーリー」になってしまいます。
序盤は「このペースだと、100時間くらいかかるんじゃないか?」と思っていたのに、後半は、「えっ、これでもう次のChapterに行くの?」って感じです。
さらに、途中に出てくる大きな街は、全体が迷路みたいになっていて、ふつうに歩き回るだけで一苦労。なんなんだこの街!
僕は「圧倒的3D酔い派」なので、『ラストオブアス』は「面白いんだけど、胃がもたない」ためにリタイアしてしまったのですが、『ファイナルファンタジー15』は、なんとか我慢できるくらいだったんですよ。
でも、この街をぐるぐる迷っていたときは本当につらかった。
ダンジョンで迷わされるのは納得できるのですが、普通の大きな街が、なんでこんな嫌がらせみたいな構造になってるんだ……誰が住むんだよこんなところ!
ヴェネツィアみたいな雰囲気を出したいんだろうな、っていうのは伝わってくるんですが、現代にヴェネツィアのゴンドラに日常的に乗って移動している住民とかいないってば!
世界中に、なんかやたらと壁みたいなのがたくさんあるし……
いやほんと、制作側が「雰囲気づくり」としてやっているのであろうことが、プレイしている僕にとっては、ことごとく「めんどくさい」にしかなっていない。
車での移動には「ファストトラベル」とかも可能なんですけどね。でもこのファストトラベルのロードもけっこう長い。
そして、いちいち給油しなければならないレガリア。そりゃリアルですね、でも、そのリアル、めんどくさいだけじゃない?
ファイナルファンタジー16』では、主人公がトイレに行くようになるのでは……
お腹こわしたら大変だな。


戦闘では、駆け引きも何も、敵の一撃が強力すぎて、すぐヒットポイントが0になります。
それでも、ヒットポイントが0になった時点では死なない親切設計!
ヒットポイントが0になるとヒットポイントの最大値が減ってくるのですが、その最大値が残っているかぎりは死なないのです。
結局「戦っているというよりは、いつもポーションを使うタイミングを気にしている」ことになります。
衛生兵ゲーム、とでも言いますか。
相手からすれば、やっつけてもやっつけても立ち上がってくるゾンビと戦っているようなものでしょうね。


そして、もはや「伝説」となりつつある第13章の「マゾダンジョン」。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、駆け引きも何も、途中から乾いた笑いが浮かんでくる壮絶さです。
でも、退屈ではありますが、そう簡単に死ぬわけでもないし、石の中に飛ばされたりもしないので、僕は「まあ、このくらいのストレスなら、そんなに目くじらたてるほどのこともないな」と思ったのも事実です。
最後に蛇にならないだけマシですよこのくらいなら。


ラストも、ねえ……作った人たちに、「プレイヤーを感動させるためには、キャラクターをどんなに軽く扱ってもいいのかよ!」って言いたくなります。
「泣け、泣け!」っていう声が聞こえてくるようで、僕は興醒めしました。


……と、さんざん悪口を書いてきたのですが、じゃあ、やっぱり「クソゲー」なのかというと、そうは思っていないのですよね。


少なくとも前半の自由度が高くて、クエストをこなしていくところは、こういうゲームに慣れていない僕にとっては新鮮でしたし、グラフィックも素晴らしく美しい。釣りなどのサブゲームは難しすぎるけどなかなか面白いし。戦闘もボス戦での敵の大きさというか迫力には圧倒されます。戦略性には乏しいけれど、戦闘でノクティスを自分で動かしている、という感じはすごくあるんですよ。
泊まる場所で経験値ボーナスがついたり、プロンプトが写真を撮ったり、イグニスがキャンプで料理したりするのも楽しい。
ストーリーも途中からはもう10週打ち切りのジャンプマンガのような急展開をみせるのですが、支離滅裂というか、途中の経過がすっ飛ばされているだけに、どう転ぶのかわからない面白さもあるのです。
このあまりにも広げすぎた大風呂敷を、どう畳むんだ、スクエニ
結局、「自分で広げたはずの大風呂敷そのものを極力無視する」という荒技が駆使されているのですが。
「帝国」って、何だったんだいったい……


……まあ、10年もかけて作ったら、どこかで終わらせて商品にしないと、どうしようもないですよね。
たぶん、本当につくりたいものをつくるためには、あと5年くらい必要だったんだろうなあ。
そして、「基本的なシステムが10年前につくられたもの」であるのなら、できた時点ではすでに「かなり時代遅れ」になってしまっているわけで、「やっと発売したら、すぐに大容量ロムカセットが出てきてしまったファミコンディスクシステム」の悲しみを思い出さずにはいられません。


しかしながら、基本的に、オープンワールドRPGに慣れていない僕にも遊びやすいシステムではありました(次に何をやっていいのかわからない、という状況には一度もなりませんでした)。
ストーリーも難点だらけなんだけれど、最近つくづく思うのは「物語」って、どこかイビツというか、すべて辻褄がきっちり合うようなものだと、「まとまっているけど、印象に残らない」ことがあるんですよね。
千と千尋の神隠し』の「ハクは川だった!」とか、『君の名は。』の「オカルト風タイムトリップ」とかは、格好のツッコミどころなのですが、後でよく覚えているのって、そういう「何それ?」みたいな支離滅裂なシーンであることが多いのです。
そもそも、『ファイナルファンタジー』シリーズって、もともとそんな優等生じゃないというか、「新しいものをつくろうと全力投球したら、キャッチャーミットを大きくはずれて、バックネットに豪速球」みたいなナンバリングタイトルもあるんですよね。『2』とか『8』とか。


fujipon.hatenablog.com


『15』は、少なくとも「意欲的な作品」という意味では、『ファイナルファンタジー』らしい、と言えるのではないでしょうか。
あの『ファイナルファンタジーの新作が!」から、「なんじゃこりゃ!」までが遠足です。


全体像としてみると、いろいろアラは目立つけれど、このクオリティで、これだけの時間遊べるゲームというのは、なかなか無いと思うんですよ。
コアゲーマーには物足りないところはあるかもしれないけれど、「ノクティス、カエル探してる場合かよ!」ってツッコミながらもけっこう楽しめる。


ネットでのレビューって、「うまい批判」のほうが高く評価されがちなのが、僕はけっこう気になっているのです。
「うまい批判」「面白い悪口」のほうがウケるから、みんなそういうものを書いてしまいがち、あるいはそういうレビューの検索順位が上になりがちで、結果的に、その作品に触れる前から、敬遠してしまう人が増えてしまっているのではないだろうか。
「そうか、つまらないんだな、買う前に知ってよかった」って。


完璧なゲームなんてなかなかない(というか、ほとんどない)し、減点主義だと、娯楽って、つまらなくなってしまうと思うんですよ。
僕も、あれこれ言わずにはいられない性質なので、人のことは言えないのですが、「いま、この値段で買える、『ファイナルファンタジー15』より面白い(コストパフォーマンスが高い)ゲーム」というのは、僕にとっては、そんなに多くはありません。
仮に7000円で買ったとしても、飲み会1回分、と考えると、そりゃ、いろんなしがらみを抜けば、ゲームの方が「お得」な気がします(あくまでも個人の感想です)。
『人喰いの大鷲トリコ』のほうが良い!って言われたら、「そっちのほうが良かったのかな……」というところではありますが。


正直なところ、平均点「2.7」というのには、あまりにも減点主義になりすぎているネットレビューの現状が反映されていると感じます。
僕だったら、「☆4つ」くらいはつけたい。
いやほんと、ネットの否定的なレビューだけみて、「もういいや」って切り捨てるには、もったいないゲームだと僕は思うのです。
ちょっと褒めると、すぐ「メーカーの回し者」とか「ステマ乙」とか言われてしまうんだけどさ。


思い出してみてください、つい最近、話題になったこのことを。
nlab.itmedia.co.jp

悪口や批判だから「本音」だとも限らないのです。
そういう「ネガティブキャンペーン」に釣られて、面白いものに出会う機会を逸してしまうのも、クソゲーをつかまされると同じくらい、あるいは、それ以上に「もったいない」ことではなかろうか。

ファイナルファンタジー15』は、多くの人が幻想を抱いていたほど凄いゲームじゃないかもしれません。
でも、多くの「普通のゲーム好きの人」にとっては、門前払いするほど酷い「クソゲー」じゃないと思うんですよ。
少なくとも、僕はそう感じています。