今年のテレビ番組のなかで、通年では『真田丸』と並んで楽しみにしていたのが、この『ドキュメント72時間』でした。
「面白い人を見つけて追いかける」番組が多いなかで、ひとつの場所にカメラを据えて、そこに来る人々を定点観測していく、というスタイルで好事家たちに人気になっているこの番組。
12月29日の夜から、5時間半にわたるスペシャル番組「視聴者投票による人気ベスト10の再放送と登場した人々の『その後』」が放送されました。
視聴者投票によるベスト10が発表されるということで、僕も事前に「個人的ベスト3」を考えてみたのですが、それは『長崎の花火屋さん』と『赤羽のおでん屋さん』『四国の海がみえる無人駅』だったんですよね。
さて、結果はいかに。
3位『四国 海だけの小さな駅で』
www.nhk.or.jp
これ、観たときには、「なんか期待していたほどすごくなかったな」って思ったんですよ。
でも、なんだかときどき見返してみたくなるんですよね。
下灘駅(愛媛県伊予市にある、JR四国予讃線の駅)の定点観測なのですが、この駅から海を観た人は「うわっ」てなるのかもしれないし、逆に「わざわざこんなところまで来たのに、こんなもんか」って、少し拍子抜けするかもしれない。
ものすごい絶景っていっても、グランドキャニオンだって、15分くらい眺めていたら、「もういいかな」って思うものなあ。
その「最初の一瞬」のために、観光というのはあるのかもしれないけれど。
それも含めての「いろんな人が集まる場所」なのかな、って。
「こういう場所に来ることを考え、実行してしまう人とその内心、みたいなものについて、考えてしまうんですよね。
一度この番組で観てから、僕も一度行ってみたい場所になりました。
2位『ゆきゆきて 酷道439』
www.nhk.or.jp
ああ、これがあったか!
「定点観測」とは言いがたいし、『ドキュメント72時間』としては異色の「珍道中」っぽい回なのですが、まだまだ、世の中には「VOW的なもの」を愛する人がたくさんいるのだな、と思い知らされました。
というか、この人形おばちゃんすごいよ!
これって所さんの番組とかでやるべきものじゃないの?
「集落から人が去り、クジャクとガチョウだけが残った」
マムシの丸焼きとか出てくるし、個人的にはトラウマ回だなこれ。
「3桁国道」には、けっこうすごい道があるっていうけど、ノルウェーの山道はすごかったぞ!みんなすれ違えなくて、そごい距離を猛スピードでバックしていくんだから!って言おうと思ったけど、この番組を観たかぎりでは、「439の勝ち!」でした。
第1位『長崎 お盆はド派手に花火屋で』
www.nhk.or.jp
長崎のお盆の花火屋の3日間。
僕も大学時代に、部活の知人に連れられて長崎のお盆を観に行ったときは、なんなんだこの騒々しさは、と驚いたのを思い出しながら観ていました。
でも、「賑やかに見送ってあげたい」と、涙を流しながら花火を持ち、爆竹を鳴らしている人たちをみていると、そこに「悼む気持ち」があれば、その方法はどんな形でもいいのかもしれないな、と思えてくるのです。
地元の人たちは、けっこうこのイベント(?)を楽しみにしているんですよね。
街中でこんなに派手にドンパチやれる機会なんて、そうそうあるもんじゃない(まあ、市街戦にでもなれば、という話ではありますが、それはちょっと勘弁)。
あの爆竹の大音量、けっこう癖になるものでもあり。
耳栓してまでやらなくても……とは、ちょっと思わなくもないけれど。
死者を「悼む」にも、さまざまな流儀があって、どれが正解というものではないのだ、ということを考えさせられる回でもありました。
派手に、とか笑って見送ってほしい、っていう人は、たぶん、けっこういるよね。あらためて考えてみると。
しかしこれ、けっこうな出費だよなあ。
2016年ベスト10を観て、この番組のファンは、やっぱり「わかってる」なあ!って、ちょっと嬉しくなりました。
冒頭に放送作家の鈴木おさむさんも仰っていたのですが、2016年は新たな試みとして、『ポケモンGO』で人が集まった東京・錦糸町の公園とか、『ハロウィン』の六本木、といった「時事もの」「ニュースになるような場所」も扱われていたのです。
でも、そういう回は、ランクインしていませんでした。
やっぱり、そういう「ハレの場所」は、この番組でやる必要はない、と感じる人が多いのだな。と。
僕もそういう回は「なんか違う」感じがしていたので、納得してしまいました。
とはいえ、こういう番組は、時事ネタも取り入れていかないと、どんどん「ネタ切れ」になってしまう可能性は高いですよね。
観られなかった方のために、「ベスト10」をタイトルだけご紹介しておきます。
このスペシャルも再放送されれば良いのだけれど。
第10位 真冬の東京 その名は”はな子”
第9位 福岡・中州 真夜中の保育園
第7位 札幌 聖夜のバスターミナル
第7位 さらば!俺たちの船橋オート
第6位 京都 青春の鴨川デルタ
第5位 囲碁の魔力に囚われて
第4位 冬・津軽 100円の温泉で
第3位 四国 海だけの小さな駅で
第2位 ゆきゆきて 酷道439
第1位 長崎 お盆はド派手に花火屋で
何はともあれ、今年も『ドキュメント72時間』には楽しませていただきました。
1本が30分にも満たない番組で、「ちょっと観る」にはちょうど良いサイズでもあるのも嬉しい。
- アーティスト: 松崎ナオ
- 出版社/メーカー: M&I
- 発売日: 2006/11/15
- メディア: CD
- クリック: 55回
- この商品を含むブログ (2件) を見る