いつか電池がきれるまで

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九州国立博物館の特別展「京都 高山寺と明恵上人 - 特別公開 鳥獣戯画 -」に行ってきました。

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あの『鳥獣戯画』が九州初上陸!ということで行ってきました九州国立博物館
開催期間が2016年10月4日から11月20日と、比較的期間が短めでもあり、開催後半はさらに混みそうだったので、一昨日、金曜日の午前中に。
さすがに平日だけあって、チケットも入場も順番待ちなしでよかったのですが、修学旅行か社会見学かで来ていたと思しき学生さんがけっこう大勢いました。
太宰府天満宮に修学旅行で来て、せっかくだから、という人も多いのでしょうね。
今回は、会場に入ってすぐの特別展示室に展示されている鳥獣戯画をケースの前で観るには、10分くらいの待ち時間がありましたが、土日祝日はかなり混雑するのではないかと。
Facebookのページによると、10月22日の土曜日の昼過ぎで特別展示室(『鳥獣戯画』が展示されている部屋)までの待ち時間は40分程度だそうです。
ただし、駐車場は満車でかなり待ち時間が長そうなので、公共交通機関推奨です。
現時点では、『阿修羅展』のような「3時間待ち」みたいな状況にはなっていないようですけど、会期の終わりが迫ってくると、さらに混雑しそう。


世界遺産 栂尾山 高山寺 公式ホームページ

国宝『鳥獣戯画』は、京都の高山寺に伝わる絵巻物で、カエルやウサギ、猿などが擬人化して描かれているものです。甲・乙は平安時代に描かれたといわれていますが、詳しい製作年や制作者は不詳。
「日本最古の漫画」等ともいわれており、「教科書でおなじみ」というやつですね。
普段はどこで観られるのだろう、と思って調べてみたら、甲・乙・丙・丁と呼ばれる全4巻のうち、甲・丙巻は東京国立博物館、乙・丁巻は京都国立博物館に保管されているそうです。
今回は甲乙丙丁全巻揃っているのですが、公開は前期と後期に、それぞれの半分くらいずつ、となっていて、全部みたい人は前期・後期と2回来なければならないという商売上手な設定になっています。
いちばん有名なのは動物が多く描かれている甲巻なのですが、僕の印象に残っている擬人化されたカエルの絵は甲巻の後半部分らしくて、前期は展示されていませんでした。


有名な鳥獣戯画なのですが、丙巻、丁巻は、今回僕がみた感じでは、絵の質も楽しさも、大味というか雑で、あんまりたいしたことがないような気がしたんですよね。むしろ、ちょっと手抜き?みたいな。


今回の特別展、鳥獣戯画だけではなく、高山寺の開祖である明恵上人に関する絵や資料の展示もけっこうたくさんあって、なかなか興味深い人だなあ、と思いながら眺めていました。
高山寺は紅葉でも有名だそうなのですが、僕にとっては「そんなお寺が京都にあったのか……」というのが正直なところです。
それでも、こんなに国宝とか重要文化財があるんだなあ。
明恵上人はずっと天竺に憧れていて、生涯で2回、真剣に明からインドに行こうとしたそうなのですが(そのときの計画書も展示されています)、その際、春日明神から「ずっと守ってやっていたのに行ってしまうとはけしからん」というようなお告げを受けて、断念したそうです。
明恵上人は、「夢」にものすごく興味を持っていて、「夢日記」をつけていたのです。
(当時は、夢は神仏からの「お告げ」だという考え方もあったそうです)
現代風の解釈をすると、天竺(インド)への渡航の危険性が明恵上人の潜在意識にあって、「夢に出てくる」という形でリスクを避ける行動を促したのではないか、などと考えてしまいたくなるのですけど。
こういうのって、本当にやってしまった人は、行方不明者として歴史から忘れ去られるだけなんだろうなあ。
悟りっていっても、脳内麻薬の力なんじゃないか、とか。
リアルタイムでオウム真理教事件をみてしまうと、宗教というのは、科学で解釈したり、現象を再現したりできるのではないか、と思わずにはいられなくなるのです。


教義の研究よりも修業の実践を求めていたという明恵上人の高山寺が、結局、浄土宗などに押されて勢いを失い、「学問のための場所」になっていったというのも、こういうことって、よくあるよなあ、って。
鳥獣戯画』だけでなく、当時の宗教者の考え方とか生活ぶりがうかがえる、なかなか面白い特別展だったと思います。
僕はミーハーなので、『鳥獣戯画』がなかったら、行かなかっただろうけど。
やっぱり、こういう特別展には、「これを観てきた!」って言いやすい「目玉」があると嬉しいよね。


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筆ペンで描く鳥獣戯画

筆ペンで描く鳥獣戯画

鳥獣戯画手帳 2017

鳥獣戯画手帳 2017

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