いつか電池がきれるまで

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『Kindle Unlimited』で読める、オススメの新書10冊

トピック「kindle」について


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巷で話題の『Kindle Unlimited』ですが、僕も早速無料お試し登録してみました。
使ってみて1週間程度ですが、図書館みたいな感じで、「いま、読みたい本」というのは、あまりUnlimitedの対象に入っていないのです。
もう余命もそんなになさそうな僕の場合は、「お金を出してでも読みたい本」と「タダなら読んでみてもいい本」を天秤にかけると、そりゃあ、まず前者を読んでおきたいというのが正直なところです。
実際のところ、月に980円でかなりの本を無料で読めるというのは、「お得な感じがする」のですが、もともと本を読まない人は、「タダだから」かえって読まないかもしれません。
正直なところ、「安ければ本を読む」という人はそうそう多くなくて、大部分の人は「人生における読書の優先順位が低い」だけではないかと。別にそれは悪いことじゃないし、世の中には読書より面白いこと、役に立つことはたくさんあります。
そもそも、その気になればブックオフでも良書を安く買えますし、Kindleの無料本やセール、青空文庫でもたくさんの本が読めます。図書館で借りてもいい。
居ながらにして新しい本が読める、というのはKindleの大きなメリットだけれど、980円は、そんなに安くはないかもしれません。雑誌をたくさん読みたい人にはいいかも。


と、なんだかネガティブなことばかり書いてしまったのは、これから御紹介する『Kindle Unlimitedで読めるオススメの新書10冊』を選ぶにあたって、けっこうがっかりしてしまったからでもあるのです。
ジャンルによっては、比較的新しい本や読みつがれている古典もあるのかもしれませんが、「新書」に関しての現在の『Kindle Unlimited』は、「まだまだこれから」という印象です。
岩波新書講談社現代新書中公新書新潮新書、文春新書、幻冬舎新書など、多くの出版社は、少なくとも僕が調べた範囲では、最近出た新書やベストセラーはKindle Unlimitedに参加していないようです。
そのなかで、がんばっているのが光文社新書(ここはかなり新しめのものも入れてくれています)、PHP新書(売れているものや最近のものはあまり入っていない)、マイナビ新書あたりで、その他、比較的規模が小さい新書のレーベルでは、Kindle化されているものはそのままUnlimitedに入っていることが多くありました。
このあたりは、各出版社とAmazonの力関係が大きいのかもしれませんね。
ただ、これから対象となる新書が増えることがあっても減ることはないと思いますし、新書というのは、値段のわりに短時間で読めてしまうので、コストパフォーマンス的にも『Unlimited』で読めるとありがたいところもあり、ユーザーのニーズも高そうなので、今後はラインナップが強化されていくのではないでしょうか。


というわけで、僕がいま(2016年8月)にオススメする、「『Kindle Unlimited』で読める、オススメの新書10冊」をどうぞ。



心配学?「本当の確率」となぜずれる?? (光文社新書)

心配学?「本当の確率」となぜずれる?? (光文社新書)

fujipon.hatenadiary.com

 とても読みやすい、「普通の人が、普通に知っておくべき、リスクへの向き合い方」がしっかり語られる新書だと思います。著者の語り口や例の挙げ方が巧みで、読んでいて引き込まれますし。
「でも、リスクがゼロってわけじゃないんでしょ?」
 つい、そう反論してしまう人にこそ、ぜひ一度読んでみてほしい。



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 ヨーロッパの国境を失くすというEUの試みは、加盟各国の「国境意識」の再燃と、「EUの外からの圧力の増大」によって、厳しい局面を迎えているのです。
 日本にいると、あまり意識することもなく、「かわいそうだから、受け入れてあげればいいのに」と思う「難民問題」なのですが、最前線はそんなに甘いものではない、ということを思い知らされる新書でした。



今を生き抜くための70年代オカルト (光文社新書)

今を生き抜くための70年代オカルト (光文社新書)

fujipon.hatenadiary.com

 70年代から80年代前半くらいまでは、「米ソの核戦争で、人類が滅ぶ」というのは、ものすごくリアリティがあったんですよ。
「地球上には、人類を何十回も絶滅させられるくらいの核兵器がある」と何度も繰り返されていましたし。
 今の子供や若者たち、ベルリンの壁崩壊後に物心ついた人々には、そんな「危機感」って、信じられないのではないかなあ。
 そんな荒唐無稽なオカルト、とは言うけれど、それが流行るためには、それなりの事情、時代背景みたいなものもあるんですよ。



たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)

たのしいプロパガンダ (イースト新書Q)

fujipon.hatenadiary.com

 この本の最後の章には、現代日本での「プロパガンダ」が紹介されています。
 それを読みながら、僕はあれこれ考えてしまいました。
 たとえば、自衛隊の隊員募集のポスターに、AKB48の人気メンバーが起用されたり、アニメの「萌え絵」が使われているのは「プロパガンダ」なのか?



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 この新書、けっこう批判が多いのに読んでいてイヤにならないのは、著者が「ちゃんと、この本のなかで紹介しているビジネス書を読んでいるから」なのだと思います。
「ビジネス書なんて読みやがって、バーカ」と決めつけるのではなくて、「ルーツになる本の焼き直しばかり」とか「読者の不安を煽って商売をしている」という指摘をしながらも、「それでも、まったく役に立たないということもない」し、「読む価値がある本もある」と仰っています。



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 この新書で、著者がデジタル復元で再現した、完成当時の『阿修羅像』の姿や色を観ると、正直なところ、「僕が3時間も並んで『阿修羅展』で観たものと、同じものなのか、これは……」と絶句してしまいます。
(この項での「阿修羅像」は、興福寺の国宝「阿修羅像」を指しています)



聞き出す力

聞き出す力

fujipon.hatenadiary.com

 プロインタビュアーとしての吉田豪さんの「下準備」のすごさには定評があるのですが、それは「あなたに興味を持っています」「あなたの話を聞きたいです」ということの証明なんですよね。
 吉田豪さんのすごさというのは、「人間を面白がることができる力、好奇心の強さ」なのではないかと、この本を読んで、あらためて感じました。



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 たぶん、著者の吉田さんのスタート地点って、僕と同じくらいの「飲み会で知らない人の隣に座るのってイヤだなあ」というレベルだと思うんですよ。
 先天的に「明朗快活、人間大好き!」という人のコミュニケーション術を真似するのは、僕には無理。
 でも、自分と同じところから這いあがろうとした人の話には、頷かされるところも多いのです。



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 それぞれの場所に関して、旅の「難易度」(どのくらいの体力を要するか)や飛行機の所要時間、かかる日数や費用も具体的に示されているのも親切です。
 「旅慣れていない人は、ここへは旅行会社のツアーで行ったほうがいいですよ」なんてことも率直に書かれています。
 この新書を読んでいて痛感するのは、現在、2016年を生きていて、それなりの体力があって、お金と時間もそこそこあれば、「世界中、どこにだって行ける」ということなのです。



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 田口選手の場合、日本にいたときにはオリックスの主軸のひとりとして高い年俸をもらっていたのですから、アメリカでの生活を、よく8年間も続けてこられたなあ、と。
 この本を読んでいると、田口夫妻は、いろいろ大変な体験をしつつも、「アメリカで生活すること」「アメリカで野球をするという経験」そのものを楽しむという姿勢を失わなかったからこそ、やっていくことができたのでしょうね。
 その「好奇心」は、本当にすごいなと感心するばかりです。


 これがベストチョイス!と言い切る自信はありませんが、現在のラインナップのなかでは、「これが読み放題ならお得!」と思える『Kindle Unlimited』で読める新書を10冊、紹介してみました。
 これから、さらに『Kindle Unlimited』の新書が充実していくことを願っています。




 こちらは随時更新中の僕の旅行記です(現在ガラパゴス編)。有料(300円)ですが、よろしければ。

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