いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

小林麻耶さんの『しくじり先生』で、最も印象に残った言葉

news.livedoor.com


率直に言うと、今回の『しくじり先生』の小林麻耶さんの回って、前半は「なんかあんまり面白くないなあ、本人が自分はいい人だったと思い込んでいるエピソードやモテ自慢ばっかりだし、と思っていたんですよ。
ネットをあれこれ彷徨いながら、ただ流しているだけ、でした。
本人は周囲の期待に応えようとがんばっているのだけれど、結果がついてこず、周りからは「男に媚びている」「八方美人」のように見られ、アナウンサーデビューした年(2004年)に「嫌いな女子アナ」第1位!
そして、TBSを退社直後にフリーの立場でゴールデンタイムの帯の報道番組のキャスターに抜擢されたものの、視聴率が取れずに1年で番組は終了し「低視聴率女王」と嘲笑された話など、まあなんというか、半分くらいは「小林麻耶さん、それまでニュースを読んだこともないと言っていたのに、いくらなんでも背伸びしすぎだろ……」というのと、「TBSの編成って、無謀というか、何考えているんだ?」というのと。


TBS、こんな起用をやっていれば、そりゃ、テレビ東京にも負けるよ……
テレビ東京は、限られた人的・物的資源を、適性にあわせて、すごく「活用」しているもの。


TBSの女子アナといえば、『女子アナの罰』という、僕がひそかに楽しみにしていた深夜番組があったのですが、小林麻耶さんは、後輩の田中みな実さんほど、そういう「バラエティ性」を活かせる場に恵まれなかった、というのはあるのかもしれません。
しかし、小林麻耶さんって、「無防備な田中みな実」みたいな感じだよねあらためて考えてみると。


今回の『しくじり先生』を観ていると、小林麻耶さんの場合は、「八方美人的なキャラクター」(だと本人は言っているけれど、たぶん、近くにいた人には「男や力のある人に媚びている」ように見えていたのだと思います)と、「嫌われたくないばかりに、自分の主体性を喪ってしまったこと+自分で『我慢している』つもりだったのが、にじみ出てしまったこと」が、人生をこじらせてしまった原因なのだろうなあ。

『総力報道! THE NEWS』2時間の生放送での発言時間


3分21秒!


報道番組のニュースキャスターに抜擢されたにもかかわらず、適性がなくて、メーンキャスターにもかかわらず、どんどん画面に映らなくなっていった、というエピソードに「おお、それは『なんでも鑑定団』の石坂浩二さん(は、「適性がない」わけじゃないんですが)!」と僕は思ったのですが、比較されたのは、元『モーニング娘』の保田圭さんでした。まあ、いくらなんでも、このタイミングで他局の、石坂さんはネタにはできないか。
石坂浩二さんも、近い将来『しくじり先生』に出そうな予感がする……


明石家さんまさんに「1年もゴールデンで番組が続いたなんて、すごいことだよ」と言われて、ようやくラクになった、なんて話を聞くと、小林麻耶さんも、けっこう大変だったんだな、妹さんは結婚して落ち着いているみたいだし、と思えてきました。
しかし、あれで36歳というのは、良くも悪くも「ありえん」って感じではあります。


ありのままの自分で行こうとしたら、2014年に「嫌いな女子アナランキング1位」に返り咲き……
まあでも、10年越しの1位なんて、なんたる底力!
そもそも、まだ「女子アナ枠」だったのか、小林麻耶
申し訳ないけど、観ていて笑ってしまいました。
(いや、これをネタにできるようになったのが、いまの小林麻耶さんの「強さ」なのだと思うし(僕の言い訳込み))


この回で最も僕にとって印象深かったのは、小林麻耶さんのこの言葉でした。

摩耶先生・最大のしくじり
 自分の事を嫌う人ばかり意識して、自分の事を好きな人に目を向けられなかった。


 僕も若い頃、「メランコリー親和型性格」なんていう結果が出ることが多かったので、「八方美人」というか「とにかく他人に嫌われたくない」「嫌われることが気になってしょうがない」っていう精神状態って、わかるような気がするのです。
 もちろん、1週間に1回、異性から告白される、なんてことは僕には無縁というか、極北の世界ではありますが。
 それは、ネットの世界でも、長い間同じで、いわゆる「ネガコメ」(『はてなブックマーク』などでの誹謗中傷や揚げ足取りのような批判)は、かなり辛かったのです。
 何度か「サイト閉鎖」もしましたし。
 10個コメントがあったとして、2個くらいは褒めてくれて、6個くらいはあたりさわりのないもの、2個が批判でも、その「2割の批判」ばかりが気になって、腹を立てたり、落ち込んだりしていたんですよね。
 

 ただ、ずっと続けているうちに、「応援してくれる人」「感想や意見を表明することもなく、ただ、ずっと読み続けてくれる人」がいることもわかってきたのです。


d.hatena.ne.jp


 具体的には、このエントリが、ひとつの転機になったような気がします。
b.hatena.ne.jp


 もちろん、ブックマークコメントも「称賛ばかり」というわけではありませんが、こんなにたくさんの人に「おめでとう」を言ってもらえたことは、本当に有難かった。
 日頃はあまりコメントしないのですが、という人も、たくさん言葉をかけてくれました。


 長年生きてきて、ネットを使ってきて思うのは、「嫌いな人に自分を好きになってもらうことは不可能ではないのかもしれないけれど、そのために使う時間や力があるのなら、自分を好きだと言ってくれたり、応援してくれたりする人を大切にするために使ったほうが良い」ということです。
 ネットは「嫌いな人を説得するツール」としては、あまりにも使い勝手が悪い。
 僕は寡聞にして、ネット上の論争で、敗れた側が「転向」したというのを見たことがありません。
 ネットは「好きになれそうな人どうしを効率的に結びつけることができるツール」ではあるけれど、「嫌い」を「好き」に変えるのは難しい。
 そもそもそれは、ネットじゃなくても、難しいのですが。


 人間が生きられる時間なんて、「好きな人を少しでも幸せにする」だけでも、短すぎるくらいです。本当に、そう思う。


 「八方美人型」「他人に嫌われることばかり気にしてしまう人」は、この小林麻耶さんの「しくじり」(それは、僕自身の「しくじり」でもあります)と同じ轍を踏まないようにしてほしいのです。
 これは、人生において、最も大切な「優先順位」だと僕は思います。
 ただ、「好きな人」の期待に応えようとしすぎて、あまりにも自分を適応させすぎて苦しくなってしまうこともあるので、「やりすぎ」は禁物です。


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