いつか電池がきれるまで

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「高校生が選挙権を持つ」ということ

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 2015年6月17日に、参議院本会議で、選挙権を得られる年齢が20歳から18歳に引き下げられる「改正公職選挙法」が成立しました。
 改正法は速やかに公布され、1年間の周知期間を経て、来年6月20日以降に行われる参議院選挙で初めて適用される見通し、とのことです。
 公職選挙法の改正は、太平洋戦争終戦の年、1945年に男女とも20歳以上が選挙権を持つようになって以来、70年ぶり。
 世界のほとんどの国では、18歳までに選挙権が与えられているということで、日本もそれに倣うことになりました。
 これって、かなり大きなニュースであり、大きな社会の変化なのに、僕はそんな法改正が行われつつあることすら知りませんでした。
 うーむ、社会問題に疎いな、自分。

 
 決まったあとの「街の声」では、「若い人たちの声が政治に反映されるのは良いこと」「18歳なら自分で判断できる年齢」との賛成意見がある一方で、「18歳だったら、まだ高校生もいるのに……」「社会に出てから、選挙権を与えたほうが良いのでは」という人もいたんですよね。
 当事者である高校生たちにも「自分たちの意見を社会に反映したい」という「積極派」もいたのですが、「まだ実感がわかない」「正直、自分で判断できる自信がない」などと、けっこう困惑している人たちの言葉が多く採りあげられていました。
 もちろん、そのテレビ番組が「ネガティブ派」の意見を多めに紹介していただけなのかもしれないのですけど。


 僕も「18歳はそれなりの判断力はあると思うけれど、まだほとんどの人が親に養ってもらっている年齢だし、酒もタバコもダメで『未成年』なのに、選挙権って早いんじゃない?」と以前は思っていたのです。


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 でも、この本で、池上彰さんの意見を読んで、考えが変わりました。
 池上彰さんは「選挙権を得るのは、18歳にすべきではないか」と主張しておられたのです。

 アメリカは18歳で投票権が得られます。つまり、(2012年の大統領選挙)投票日の11月6日当日に18歳になっていればいい。高校3年生の中には11月6日の段階で有権者になっている人たちが相当数いる。だから、自分たちが誰に入れようかを考える。18歳から選挙権を与えると、こんなにも政治に対する関心が高まるのには驚きました。


 なぜ日本では選挙権を得るのが20歳なのかというと、酒やたばこを許される年齢が20歳だったので、その年齢に揃えたに過ぎません。いわゆる「大人」の年齢を20歳にしたので、選挙権の獲得もその年齢に合わせた。


 ただ、世界を見渡せば、大体18歳です。18歳にする意味はあると思います。18歳だと、たいてい高校生で、真面目なこともあり、選挙へ行きなさいと言われればきちんと選挙に行く可能性が高い。また、生まれ育った地元にいる分、そこがどんな状況か、誰が立候補しているか、だいたいわかるので、誰に投票すればよいか判断ができる。これが20歳になってしまうと、地方から都心の大学や会社に行ってしまったりするので、自分が住んでいるところから誰が立候補するかわからないことが多くなります。

 まだ高校生なのに、選挙権を与えても良いの?
 そんな疑問に対して、池上さんは、むしろ、「高校生のうちに、はじめての選挙を経験することのメリットは大きい」と答えていたのです。


 「18歳というのは世界標準である」というだけでなく、「むしろ、高校生のうちに選挙権を付与して、学校でも積極的に政治に参加することを指導し、投票に行く習慣をつけさせるほうが良い」と書いていたのを読んで、なるほど、と納得しました。
 池上さんは、「日本では大学進学をきっかけに地元を離れる人が多いけれど、高校生であれば、いままで生まれ育って、良いところも問題点もよくわかっている土地で、選挙に参加できる」というメリットもある、とも書かれていました。


 この改正の結果をみて、今後も「18歳」にとらわれず、もう少し年齢を引き下げても良いのかもしれません。
 16歳以下になれば、高校在学中に一度は国政選挙を経験することになるでしょうし。
(「高校に行かない子どももいる」という意見も当然出てくるとは思いますが、現状、日本の高校進学率は97%をこえており、「高校に行っている人が多数派であるという前提」だと御理解ください。高校に行っていない人は、もちろんその社会経験を活かして投票するはずです)


 いきなり決まってしまった、という感じではあるし、憲法改正をすすめるための布石(若い人のほうが、高齢者に比べると「憲法九条堅持!」という人の割合が少ない)ともいわれているのですが、この改正そのものは、すごく良いことだと思います。
 ただでさえ、若い人の割合が、どんどん減り続けていく国、ではありますしね。


増補 池上彰の政治の学校 (朝日新書)

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