いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

こうして、ルールは「有名無実」になっていく。

参考リンク:「【JR東日本】「東京駅100周年」記念スイカで大混乱」:イザ!
東京駅記念スイカに客殺到、大混乱で販売中止 飛び交う怒声、囲まれる駅員:イザ!


僕は九州在住なので、この記念スイカが発売されることすら知らなかったのですが、テレビでこの大混乱をみて、驚いてしまいました。
あんな怒号が渦巻くほど、「記念Suica」が欲しい人が、大勢いたのか……と。
JRにとっても、こんなにみんなが欲しがるとは予想外だった、というのが本音だったのではないでしょうか。


僕は「この記念Suicaに、そんなにこだわらなくてもねえ」とか思いながらニュースを観ていたんですよね。
こういう「ものを売るための行列」に慣れていない駅員さんにとっては、キツかったはず。
駅は、家電量販店じゃないのだし。
駅の機能面を考えると、Suicaを買う人による大混雑が、電車に乗る人の邪魔になっては困りますし。


でも、そのニュースのなかで、インタビューに答えていた人のこんな話を聞いて、ちょっと考え込んでしまったんですよ。

「禁止されていたはずの徹夜組が購入でき、ルールを守っていた人が買えないなんて納得できない」


限定1万5000枚ということもあり、人気が予想されていたこのSuicaの購入に関して、JRはポスターなどでこんな告知を出していたのです。

前日からお並びいただくことは出来ません。ご了承ください。


ところが、発売当日には、徹夜組がとくに排除されることもなく、結果的に「徹夜してでも前に並んだ者勝ち」になってしまったのです。


うーむ、たしかにこれは、ルールを守って、徹夜して並ぶのをやめた人は、怒るだろうなあ。
ルールを決めた側が、自らそれをなし崩し的に破ってしまうというのは、裏切られた感じがしますよね。


ただ、現実的に考えると、それこそ駅の周りで夜通し見張ってでもいない限り、「徹夜組」を排除するのは難しいはず。
そのために人的資源を割くのは、厳しいですよね。
駅の仕事の本分は、鉄道の乗降客に便宜を図ることなのだから。
そして、当日になって、徹夜で並んでいた人たちに向かって、「徹夜禁止ですから、あなたたちには売りません。帰ってください」と言えるかというと……それはなかなか、言いにくいだろうなあ、と。
大きな看板を駅のあちこちに立てていたり、何度も何度も「徹夜した人は買えません!」というアナウンスを繰り返したりしていなければ、当日になって、「徹夜組はダメ」と言われても、「そんなの聞いてない、ポスターなんかいちいち見てない!」ってゴネる人だって出てくるだろうし。
いや、アナウンスしていても「自分は聞いてない」って言うよね、どうしても欲しければ。


JRとしては、「徹夜なんか、してほしくない」のは間違いないと思うんですよ。
この寒い中だし、並んでいる人たちの体調のこともある。
何かあったら、「勝手に並んでいたほうが悪い」とも、言いがたいし。
とはいえ、現実的に「徹夜組を排除する」のは、難しかった。
並んでいた人たちの多くは、おそらく、過去のJRでのプレミア商品の販売実績などを知っていて、「徹夜禁止とアナウンスされているけれど、実際は徹夜したほうが有利だろう」と判断していたのだと思います。


せめて、早めに整理券を配るなどして、「長時間待たされた末に、買えなかった」というのを避けられれば、ここまで暴動めいた騒ぎにならなかったのかもしれませんが……


こういうのって、「JRの対応に問題がある」のは間違いないのですが、どうするのが「正解」だったのかなあ、と僕は考えずにはいられません。
人気ゲームの発売日の量販店や新型iPhoneの発売のアップルストアみたいな対応を、いきなりJRにやってもらうのは無理だろうし。
これで、「結局、徹夜禁止なんてルールは、有名無実なんだから、徹夜するべき」というのが常識になってしまうと、「並び」は、どんどん厳しくなりますよね。
ルールを破らなければ買えず、ルール破りのペナルティもなければ、どうしても欲しい人は、どんどん並び始める時間が早くなっていくのが自然な流れでしょう。
長い目でみれば、「徹夜禁止を徹底する」べきだったのだろうけど、徹夜で並んでいる人を目の前にしたら、排除できないよね、なかなか……


このSuicaの件、こんなふうにして、「ルール」っていうのは、信頼されなくなっていくのだろうな、と感じずにはいられない出来事でした。
というか、もう今後は、ネットで予約+抽選販売とかに、なってしまうのではないかなあ。
それはそれで、「ネットを使えない人に不公平だ!」という声もあがってくるのでしょうけど。