いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

秋の夜長に読んでみてほしい「本当に面白いエッセイ集」10選

参考リンク:皆がおすすめするエッセイ本まとめ - 凡夫じゆうちょう


この記事を読んで、僕も「自分で読んでみて面白かったエッセイ」を紹介してみようかな、と。
エッセイって、案外、まとめて言及する機会が無いような気がしますし。
とりあえず10冊、思いついたものを挙げてみます。
ありきたりなセレクトですが、読みやすくて、「本当に面白かった」ものを集めてみました。



のはなし にぶんのいち~イヌの巻~ (宝島社文庫 C い 6-1)

のはなし にぶんのいち~イヌの巻~ (宝島社文庫 C い 6-1)

のはなし にぶんのいち~キジの巻~ (宝島社文庫 C い 6-2)

のはなし にぶんのいち~キジの巻~ (宝島社文庫 C い 6-2)

伊集院さんの話芸の素晴らしさ、笑える話から、ちょっとホロリとする話まで、多彩な変化球に圧倒されます。
このシリーズはすべて面白いのですが、なかでもこの最初の本は(文庫では分冊されていますが)ベスト・オブ・ベストかと。




生きるコント (文春文庫)

生きるコント (文春文庫)

生きるコント: 1

生きるコント: 1

僕は普段、本を読んで声を出して笑うことって無いんですけど、このエッセイ集は、がまんできずに吹き出してしまいました。
東大薬学部卒で、電通(そのキャリア自体も、「なぜ?」って感じなんですけど)入社。現在は脚本家、CMディレクターとして活躍中。
やることなすこと、面白くみえる人っているじゃないですか、本人はそのつもりがないのに。
大宮エリーさんって、きっと、見てて飽きない人なんだろうなあ。



旅行者の朝食 (文春文庫)

旅行者の朝食 (文春文庫)

旅行者の朝食 (文春文庫)

旅行者の朝食 (文春文庫)

翻訳家のエッセイは面白い、と僕はいつも思うのですが、米原さんのエッセイは、そのなかでも最上級です。笑えるところ、考えさせられるところが散りばめられていて、新しい項目に入るたびに「次はどんな味が出てくるのだろう」とワクワクする缶入りドロップみたいです。



ねにもつタイプ (ちくま文庫)

ねにもつタイプ (ちくま文庫)


エッセイというのは、「本当のこと」を書かなければならないのか?
「嘘」が混じっていてもいいのか?
実際に読んでいただければわかると思うのですが、このエッセイ集、虚々実々というか、「たぶん、ほんとうのこと」を語っていくうちに、岸本さんの妄想が暴走していき、「なんじゃこれは……」という幻想的(というか妄想的)な世界に突入していく話があるのです。
実話のつもりで読み始めていると(前述した「鮮明な記憶」に基づいて書かれているので、ものすごく「リアル」なんですよ)、いつのまにか「なんだこれは」というオチにたどり着いてしまうのです。



板谷バカ三代 (角川文庫)

板谷バカ三代 (角川文庫)

読んで笑ったエッセイ、としては、僕のなかでは「レジェンド」ですこれ。
本当にこんな家族が存在するのか?と言いたくなるのだけれども、本当にいるらしいんですよね。
でも、この「バカ」は、嘲りじゃなくて、家族へのちょっとひねくれた愛情表現、なんだよね。



怒濤の虫 (双葉文庫―POCHE FUTABA)

怒濤の虫 (双葉文庫―POCHE FUTABA)

あの西原理恵子さんの初のエッセイ集。
書店で「西原絵」の表紙を見かけて、「こんな人がいるんだな」と思って購入して読んだのですが、まさかここまでビッグネームになるとは。
いろんな意味で「荒削り」なんですが、いまの西原さんを知っていればなおさら、「まだ、何者になるかもわからなかった時代の西原理恵子」に触れるのは、新鮮なんじゃないかな。



カリコリせんとや生まれけむ (幻冬舎文庫)

カリコリせんとや生まれけむ (幻冬舎文庫)

カリコリせんとや生まれけむ

カリコリせんとや生まれけむ

会田誠さんって、こんな文章を書くのか、と驚いてしまいました。
なかでも、いちばん最初のエッセイで描かれている、実家に帰省したときの、母さんとお姉さんのやりとりの回は、僕も似たような体験をした経験があり、「そうだよ、そうなんだよ……世の中、橋田壽賀子ドラマのような『家族』ばっかりじゃないんだよな……」と、共感しまくりです。



アフリカにょろり旅 (講談社文庫)

アフリカにょろり旅 (講談社文庫)

タイトルから「楽しい冒険小説」を想像された方も多いと思うのですが、実際は「研究者残酷物語」です。
それでも、いや、だからこそ、「研究者」を目指したり、憧れている人は、ぜひ一度読んでみてもらいたい本です。
ほんと、「この人たちは、なんでこんな過酷なことを自分からすすんで楽しそうにやっているんだろう?」と疑問になるんですが、その一方で、「そこまでして追い求めたい何か」を持っている「研究者」という生きかたには、やっぱりすごい魅力があるんですよね。



負けるのは美しく (集英社文庫)

負けるのは美しく (集英社文庫)

すごい人間観察力、記憶力、記録力。
そして、つねにユーモアも忘れない。
黒澤明監督や三船敏郎さんなどの「大スター」との接点も、すごく興味深いものでした。
「他人に合わせて生きていくのが得意じゃない人」にとっては、「こういう生き方もあるのだ」と勇気をもらえる良質のエッセイ集です。
もっともっと長く生きて、いろんな話をしていただきたかった、とあらためて思わずにはいられません。



父の詫び状 <新装版> (文春文庫)

父の詫び状 <新装版> (文春文庫)

向田邦子さんに関しては、いろんな人が書いておられますが、太田光さんの言葉を。

 自己表現とは、自分を表すことではなくて、自分を消すことだ。表現における自由とは、不自由を受け入れることだ。本当の自由とは、自由と決別する覚悟をすることだ。その覚悟が相手を守り、自分を守るのだ。


 向田邦子は、少女の頃から、それを知っていたのだと思う。私のようなものにとって、本当に恐ろしい表現者とは、こういう人だ。本当の天才とは、こういう人だ。「表現しない」という覚悟。「言葉にしない」という覚悟。向田さんの沈黙には、いつも、本当に震える。


 以上、かなりベタなラインナップではありますが、どれも「本当に面白いエッセイ」ですよ。
 ふだんはあまり本を読まないけれど、読書の秋だし、何か「面白いもの」を読んでみたいという人には、自信を持ってオススメします。