いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

ブログの「稼ぎ」とか「PV数」をコンテンツとして公開することの「はしたなさ」

参考リンク:ブログで儲けるのが嫌いなのではなく、煽ったり釣ったりしてるのが嫌なだけ - あざなえるなわのごとし


最近とくに『はてなブログ』関連で、こういう「ブログでお金を稼ぐことの是非」みたいな議論が盛り上がって(?)いるみたいなのです(本当は「ブログで収入を得ることそのものを「悪」だと言っている人は、ほとんどいないのですが)。
僕自身も、自分のブログにAmazonアフィリエイトを貼ってもいますし、お金に関しては「来るもの拒まず、というか、来てくれたら嬉しい」のですけど、それはそれとして、この議論を観ていると、なんかこう、居心地が悪くなってしまうんですよね。


「うちのブログがいくら稼いでいるとか、PVがいくつあるとか、なんでわざわざコンテンツとして公開するのだろう?」


「ネットでお金を稼ぐのも『仕事』として認知されるべきだ」っていうのは、当然のことだと思うんですよ。
でも、それが「普通の仕事」だと思っているのであれば、なぜ、わざわざ自分の懐具合を世間にアピールするのだろうか?
例えばですよ、若い人なら合コンで、ある程度年を重ねた人なら、地域の寄り合いとか子供の学校の父兄会とかで、仕事の話になることって、ありますよね。
そういうときに「いやー、私の月収は○○万円でして……」とか、自分から言うでしょうか?
条件重視のお見合いでは、「条件提示」が必要な場合もあると思うのですが、僕の感覚では「自分からそういう話をする人は、感じ悪い」のです。
いやそれは、僕自身が「お金稼いでるでしょ」みたいな話をされて、不快になる機会が多いから、なのかもしれませんけど。
「病人で金稼ぎやがって!」みたいに思われるところもあるし、面と向かって、そう言われることもありますし。


でもまあ、おそらく大部分の日本の人の感覚としては「仕事の収入の話とかを自分からする人は、ちょっと下品だと感じる」のではないかと。
他人に尋ねるのも、あまり褒められたことじゃない。


ウルフ・オブ・ウォールストリート』のディカプリオさんみたいに突き抜けていれば、ある意味爽快なのですが、通常は、そういう話をする人は、ちょっとした自慢か愚痴としてなので、聞くほうもどう反応していいのか困惑します。


もちろん、そういうのって、みんな興味はあると思うんですよ。
「芸能人の『本当の収入』」というのは、最近のテレビの「ぶっちゃけ番組」では、よくみられますし。
その額を聞いたときの「視聴者としての僕の感情」には、やはり、「そんなに稼いでたのか!」(あるいは、そのくらいしか稼げなかったのか)という驚きがあります。
ただ、それを知ったことによって、そのタレントさんへの好感度が上がる、ということはあんまりないんですよね。
だって、僕のお金じゃないし。
「たまにだから許される、一発芸」みたいなものです。


ブログでPV数やアフィリエイトで稼いだお金の額を、しょっちゅう公開している人って、「はしたない感じ」がします。
そういう「お金の話をはしたないと感じる」って、僕も抱えている「悪しき日本文化の影響」のひとつなのかもしれませんけど。
ただ、客としては「この店の商品」に興味があるだけなのに、裏事情を見せられても、かえって引いてしまうところはあります。
「この人は、自分を『ひとりの客』としてではなく、『数字』としてみているのか?」って。
データって、基本的にはそういうものではあるのだとしても。


イケダハヤトさんは、そういう情報を公開することの先駆者だと自称されていましたが、たぶん、誰も「ブログでいくら稼げるのか」知らない時代であれば、けっこう興味深いネタだったと思うんですよ。
でも、いまはだいたいみんな、想像がつくか、どこかで同じような話を読んでいるはず。


もちろん、そういう数を記録することは「後世の研究者が、日本のブログ文化を総括する上で役に立つ」可能性もあるのですが、観る側としての僕の感覚からすれば「それは自慢? それとも愚痴?」としか考えられなくて。
僕自身がブログの運営をしていることもあり、興味を持っているにもかかわらず、そういう話ばかりしているブログをみると、なんだか一昔前に乱立していた「ネットビジネスで荒稼ぎしてウハウハ」という怪しげなサイトを思いだしてしまうのです。
自らブログを運営しているわけでもない「普通の観客」からすれば「お前の懐具合なんかどうでもいいから、そのブログの本来のネタを書いてくれよ……」と思うのではないでしょうか。
これほど、「書いている側と、読んでいる側の温度差」がありそうな話題も珍しい。
ところが、そういう話が好きな人って、これでもかっ!ってくらい、PVとお金稼ぎの話ばかりしている。
そりゃ、嫌われてもしょうがないのでは……


僕の観測範囲では、ブログを長く続けている人で、お金の話をガンガンするのは、某イケダハヤトさんくらいです。
あれはあれで、「芸」になっているのかもしれないけれども、逆に、イケダさんくらいの知名度と開き直りがなければ、自分のブログの懐具合の公開に、あまりメリットはありません。
率直に言うと、僕はその手のエントリを見かけるたびに「ああ、この人、今日はネタが無いんだな……」としか思わなくなりました。


ブログ運営者は、そういう話を書く前に「これ、何の意味があるのだろう?」と、一度ゆっくり考えてみたほうが良いと思います。
いやほんと、「よほどの有名ブログでなければ、自分以外の誰も喜ばないコンテンツ」だから。
そして、「もう先人がさんざんやってきたことで、時代遅れ」だから。
それでも公開したい、吹聴したい!というのであれば止める権利はありませんが、それは他者からみれば「コンテンツ」というより「自慢」か「愚痴」にしか見えていない、ということは、知っておいて損はありません。

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