いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

オリンピックに感謝した日

僕はもともと運動音痴で、オリンピックに対して、斜に構えているところがありまして。
いくらこの運動神経抜群の「日本人」たちが活躍しても、自分の人生が何か変わるわけじゃないしなあ、みんなそんなに熱くなれて羨ましいよ、みたいな感じで(でも野球はずっとカープファン)。


そんな僕が、10年前のアテネオリンピックのときに、「やっぱりオリンピックって、ありがたいなあ」と痛感したのです。


その日は、職場から派遣される1泊2日の教育研修で、山の中のホテルに来ていました。
いろんなところからやってきている、全く知らない人たちと、一緒に講義を聞き、グループになって「ロールプレイング」として、医者役と患者役、指導教官役と学生役などを持ち回りでやったりして、かなり疲れる一日だったんですよね。
さらに、「親睦を深める」ということで、夕食は宴会場にみんなで集まり、ぼそぼそと話などして、部屋は大部屋で全く知らない、偉い人たちと一緒、というシチュエーション。
コミュニケーション苦手の僕としては、本当につらい一日でした。
いや、僕だけじゃなくて、他の人たち、偉い人たちも含めて、みんなけっこう辛そうだったんですけど。


そんななか、開催されていたのが、アテネオリンピックでした。
そのとき、テレビで、階級は忘れてしまったのですが、柔道が生中継されていて。
ありがたいことに、「オリンピックを観る」という大義名分のおかげで、僕たちは、あまり会話を交わさず、それぞれテレビを黙ってみていても、違和感のない夜を過ごすことができたのでした。
ときどき「あー、今のは惜しかったですねえ」とか、差し障りのなさそうな感嘆を入れたりはしましたけど。


もしあの夜、オリンピックが行われていなければ、かなり気まずい時間をさらに長い間過ごさなければならなかったと思うのです。
こういうふうに「多くの人に共通の話題」として機能してくれるオリンピックって、本当にありがたい。
「オリンピックなんて、僕の人生には何も影響を及ぼさない」と思っていましたが、そんなこともないな、と。


それ以来、僕はそれぞれの選手の結果よりも、「それが開催され、共通の話題となってくれていること」に感謝するようにしています。


がんばれ、ニッポン!(とってつけたように)


葛西選手すごいよ、41歳で銀メダルなんて、レジェンドだよ!!
……あっ、葛西選手って、僕より年下、なのか……

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