いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

個人ブログの唯一にして最大の「強み」について

参考リンク:やまもといちろう ×イケダハヤトの #ブログ論争 書き起こし(NAVERまとめ)


これを読んでいて、なんだかすごくモヤモヤしてしまっているので、たぶん大部分の人は興味ないだろうと確信しつつ書きます。
僕はこれを読みながら、イケダさんの「もっとみんな自由に発言できるようなネットで良いのではないか」という発言に関しては、「おお、けっこう良いこと言うじゃん」と思ったんですよ。
せっかく多くの人がこうして自分の意見を述べられる場があるのだから、あまりに『同調圧力』が強くなってしまうのは、もったいないよね」って感じていますし。


でも、この対談の半ばくらいの、イケダさんのこの発言には、かなりガッカリしてしまいました(引用部敬称略)。

徳力:イケダさんが言っているのは強い人に対しては別にやってもいいんじゃないのって前提で、弱い人を傷つけるのは気をつけるって話ですよね。でもやまもとさんがさっきから言っているのは、イケダさんの発言がある意味本当に弱い人たちを傷つけてしまう恐れがあるんだよって言ってるように僕は聞こえるんです。


やまもと:結果論としてって意味ですけどね。


徳力:それはイケダさんからするとどう受け止めるんですか。


イケダ:それって冒頭の方でも話しましたけど、ノマド云々を書くことによって、僕のブログを読んで人生を失敗するやつがいたらどうするんだと、ハーメルンの笛吹きじゃないかと言われるわけですよね。僕はそれナンセンスな議論だと思うんですよ。


僕のブログを読んで生の決断をする人はいないと思うし、仮にそういう人が出てきて失敗したとして、じゃあそれって僕の責任なんですかっていうと、多分僕の責任じゃないでしょうし、仮に裁判でもやってみたところで、僕に責任が来るはずないんですよね。


個人のブロガーの意見なんて参考にすべきレベルのものじゃないでしょうし、それを前提としないと僕ら情報発信できないと思うんですよね。


うーむ、じゃあこの人は何のために「情報発信」しているのだろうか……
僕などはもうこの人たちに比べたら、超弱小なわけですよ。
レッドソックスとレッドビッキーズくらいの違いがある。
でも、ずっとブログを書いていると、「自分は何のために書いているのだろう?」と悩むことって、あると思うんですよ。
それに対して、僕なりの答えは、ひとつは「こうして文章を書いて、反応を得られるのが楽しいから」。
そして、もうひとつは、「こうして世の中に小石を投げ続けることによって、少しでも、世の中が僕や家族、そして多くの人にとって、生きやすい方向に向かってくれないものか、0.0000000001ミリでもいいから」という「願い」みたいなものなのではないかと。
僕はデモとかに参加するような「行動」は、カッコいいなと思うこともあるけれど、なかなか腰が上がらない。そんな根性無しです。
それでも、自分にできることのなかで、少しでも世の中のプラスになれば、って考えてみたりもするのです。
もちろん、個人ブログのエントリなんて、大部分の人にとっては「どうでもいい」だろうし、褒めてくれるひともいれば、「読んで損した」っていうひともいます。それは当然のこととして、差し引きで、ちょっとでも世の中が良くなってくれないかな、と願っています。


イケダさんの言葉でいちばんガッカリしたのは、

個人のブロガーの意見なんて参考にすべきレベルのものじゃないでしょうし、それを前提としないと僕ら情報発信できないと思うんですよね。

という部分でした。


いや、「責任を問われるのは嫌だ」っていうのはわかるよ。
直接の面識のないひとに「あなたの言う通りにしたら、こんな失敗をした。どうしてくれる?」って言われたら、精神的につらいよね。
たしかに、裁判になっても「そんなの真似する側の責任」となる可能性が高い。


でもね、「自分の意見なんて参考にすべきレベルのものじゃない」と確信しているのに、「情報発信」しようと思うのは、おかしくない?
「これはノイズですから」って思っているのなら、それは発信すべきじゃないはず。
というか、その「僕ら」に、少なくとも僕は入れないでください。


もちろん、個人でやれることには限界もあるし、クレームつけられても困る、とは思う。
しかしながら、そういう「予防線」は、あまりにも情けない。


いや、僕だって他人の人生に責任はとれません。
でも、僕は僕なりに「少しでも、1000人に1人にでも参考になれば」と思って書いているのです(中には、僕自身の「快楽」や「救済」のために書いているものもあるのは認めますが)。


参考になんて、ならないかもしれないよ。
それでも、なんらかの「意見」や「提言」を書きながら、「これは参考にすべきじゃないですよ」って言うひとがいたら、「そんなの最初から書くなよ」としか僕には思えないのです。


所詮、個人ブログですよ。
でもさ、「個人ブログだからこそ」カネになんかならなくても、少しでも、ほんの少しでも、どこかで誰かの役に立ってほしいな、と思いながら、僕は書いています。
そういうスタンスが許されることこそ、個人ブログの唯一にして最大の「強み」じゃないですか?


まあ、こういうのって、規模が大きくなれば、いろんな「しがらみ」が出てきて、きれいごとじゃ済まなくなるところはあるんでしょうけど……
もしこれが「私はバカだから……」って前置きすることによって、バカなことを言っても許してもらおうという予防線なら、あまりにも情けない。
本当にバカだとわかっているのなら、思っているのなら、あらかじめ言い訳するより、バカなことをやらないように気をつけてみればいいのに。

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