いつか電池がきれるまで

”To write a diary is to die a little.”

なぜ、ゴルフゲームは流行らなくなったのか?


今週の月曜日(6月19日)の朝、早めに目が覚めてしまったのでゴルフの全米オープンの生中継を観ていました。
テレビでゴルフ中継を観たのは、けっこうひさしぶり(たぶん10年くらい、リアルタイムの中継を観たことはなかったと思います)だったのですが、松山英樹選手の猛チャージに、「ああ、ゴルフって、けっこう面白いんだよな!」って、ワクワクしてしまいました。
結果的には松山選手は2位タイに終わったのですが、月曜日の朝から、ちょっとやる気が出るような、そんなプレーだったのです。
とか言いながら、早起きの反動で、その日の夕方には、けっこう欠伸をしていたんですけどね。人間の充電というのは、2年使ってきたiPhoneの電池くらい、短時間で切れてしまう。


この全米オープンの中継を観ながら、思ったんですよ。
そういえば、最近「ゴルフゲーム」をやってないなあ、って。
僕はけっこう長い間(30年以上)、テレビゲームとともに生きてきました。
僕がはじめてマイコンに触れた1980年代の前半のゴルフゲームは、2次元のコースを2次元の球が飛んでいたんですよね。ゲートボールに近い感じ、とでも言うべきか。
T&Eソフトの『3Dゴルフシミュレーション』で、ボールの軌道が3次元で表現されるように。なったときには感動しました。
このゲーム、ちゃんと計算してコースやボールの軌道を描いていたので、当時のマイコンのCPUではかなり負担が大きく、一打ごとにものすごく時間をかけて計算し、グラフィックを表示していたので、18ホールまわると、かなり時間がかかったのです。
のちに僕がヘタクソながら本物のコースデビューした際に、160台のスコアを叩き出し、俯きながら家路につきながら帰ったのですが、そのとき頭の片隅で「それでも『3Dゴルフシミュレーション』よりも早く終わったな」と思っていたくらいです。


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(ちなみにこれはパソピア7版。僕はシャープX1のテープ版で遊んでいました)


その後、ファミコンの『ゴルフ』が大ブレイクを果たします。
「すごく面白い、わけじゃないけど、つい遊んでしまうゲーム」だったんですよね、ファミコンのゴルフって。
距離や風向きを読んで使うクラブを選び、打つ方向や角度を決め、タイミングを合わせてショットする、その繰り返しなのですが、手軽さと良いスコアを出すための技術とミスが許されない緊張感、そして、慣れれば30分もかからずに18ホールをまわれるテンポの良さは、シンプルながら繰り返し遊べて、「なんとなく『ファミコンゴルフ』」ということがけっこうありました。
のちに、『マリオゴルフ』シリーズは、ファミコンディスクシステムでもヒットしています。




そして、忘れてはならないのが、プレイステーションの『みんなのGOLF』。
みんゴル』の相性で親しまれたこのゴルフゲームは、プレイステーションのゲームを代表するヒット作のひとつとなったのです。
僕もこのシリーズは、かなり遊びました。
キャラクターや道具の成長要素や心地よい演出、テンポの良さなど、ゴルフゲームのひとつの完成形だったと思います。
そして、『みんゴル』以降のゴルフゲームというのは、なかなか『みんゴル』の壁を超えられなかったのです。
最近では、任天堂3DS用のゴルフゲーム『マリオゴルフ ワールドツアー』を2014年5月に発売しています。
これも「面白いし、よくできていると思うのだけれど、いつのまにか、それも比較的早いうちに遊ばなくなってしまった」のだよなあ。
みんゴル』も定期的に新作が出ているのだけれど、最初の頃の熱狂は失われてしまいました。


一時は、あれほど多くのゲームが発売され、ヒットしいたはずのゴルフゲームは、なぜ、流行らなくなってしまったのか?
ゲームそのもののクオリティが以前より下がった、ということはないと思うんですよ。
スポーツとしてのゴルフ人気が下火になったから、は理由のひとつではありそうですが、ゴルフゲームが売れていた時代も、そんなにリアルゴルフが人気だったわけではない。
そもそも、「テレビゲームのゴルフ」と「スポーツとしてコースをまわるリアルゴルフ」は、多くのゲームプレイヤーにとっては「別腹」だったのではなかろうか。


野球ゲームやサッカーゲームも、一時ほどは売れなくなったので、スポーツゲーム全体が下火なのか、いろんなゲームが出るようになって、好みが多様化したために、ゲームの選択肢が少なかった時代ほどひとつのゲームが注目されなくなったのか。
そういえば、「競馬ゲーム」というのも、『ダービースタリオン』の大ヒット後にたくさん出ましたが、ある時期から急激に減ってしまい、現役なのは『ダビスタ』と『ウイニングポスト』シリーズくらいです。スマートフォンでは、健闘している作品もあるみたいですが、ものすごくヒットしている、という感じではありません。


思うに、ゴルフゲームというのは、単調であるというのと、スマートフォンで隙間時間に遊ぶには敷居が高く、さりとて、わざわざ据え置き機で遊ぶのなら、もっと重厚な作品がいい、という「ニーズの谷間」に嵌ってしまったのではないでしょうか。
ゴルフゲームが流行らなくなったのは、テレビゲームそのものが、「ものすごくシンプルかつ短時間で一区切りつけられるもの」と「腰を据えてじっくり遊ぶもの」の二極化している象徴なのかもしれないな、と。
ものすごく売れた時期があるだけに、「売れなくなった感」が強いのですが、ゴルフゲームの固定客は少なからずいそうなのだけれど。


こうして空白地帯になってしまったジャンルというのは、いまの「ねらい目」なのかもしれません。
ソーシャルゲームじゃ物足りないけれど、クリアに何十時間もかかるようなオープンワールドRPGは手を出しづらい、という人は大勢いるはずだから。
寝る前の30分から1時間くらいで遊べて、一区切りつけられるゲームが、もっと出てほしい。
ゴルフゲーム好きは、けっこういると思うんですよね。
今年の8月末にはPS4で新しい『みんなのGOLF』が出るみたいですし。


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マリオゴルフ ワールドツアー

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